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蒼い鳥の薔薇色人生

アニメ、小説、漫画をこよなく愛するお気楽母さんの書きなぐり日記 人生いろいろあるもんです。

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風薫るころ

『風薫る、新緑若葉まつり』第3弾おしまいです。

後の二人は?

…そうでした。


安原 × 真砂子 って意外ですが家のサイトに…いなかったかも。

あえてスルーしてたのかも…。








『風薫るころ』



青くまぶしい空に仲良く泳ぐ鯉のぼり。

最近は住宅事情もあってこんなに立派な鯉のぼりを建てる家も少なくなった。



「田舎ですからね。」


そう言って笑う人の実家に初めてお邪魔したのはそんな端午の節句のころ。

長い付き合いではあったけれど、そういう間柄ではなかったけれどいつの間にか二人心をよせるようになった。




「ふふふ、なんだか懐かしい気がしますわ。」


一昔前の五月の風景。

住宅街のいらかの波に勢い良く泳ぐ真鯉に緋鯉に子鯉。


「僕が生まれた時に祖父が父と張り切って竿を建てたんですよ。兜をかぶらされて撮った写真がたくさんあります。」
「まぁ、見てみたいですわ。」

「…そのうち見せられると思いますよ…うんざりするほど分厚いアルバムがありますから。」

「それだけ大切に育てられたんですね。」


人当たりの良く(時々黒い時もあるけれど)、真面目ででもユーモアがあって、自分をしっかり持っている。

総じて彼の評価は『優秀な好青年』


「そうですね。僕は自分の家族が好きですよ。」


笑ってさらっとそんな事を言える彼が時々うらやましくなる。
私はそんな素直に家族が好きだと言えないから。

「…真砂子さん?」

不意に立ち止まった私。
どうかしましたか?と振り返る彼に微笑んで見せたけれど、少しぎこちなくなってしまった。

「なんでもありませんわ。」

「……行きましょう、家はもうすぐですよ。」


穏やかな頬笑み。

差し出された手にそっと手を伸ばす。


「はい。」



初めての恋は報われることなく終わった。

求めるばかりの幼い想い。



「…私は家族が好きだって言えるようになりますかしら?」


自分のとは違う彼の大きな手。

緊張で少し冷たい私の手を包み込むように温かく優しい手。


「もちろんですよ。真砂子さんは僕の事好きでしょう?」


「……それは…そうですけど。」

少し赤くなって答えた私の手をきつく握られ引きよせられる。


「でしょ?ほら、これからあなたと創る家庭の最初の家族は僕ですからね。」

何でもないことのようにそう言って笑うあなた。


「ね?」




さわやかな風薫る五月。


あなたとなら…。

いらかの波に泳ぐ鯉のぼりのよう仲の良い家族になれるでしょう。





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美桜子

Author:美桜子
記憶にある限り漫画、小説、アニメが身近にないときがなかったような・・・小野不由美さんのゴーストハントにはン十年はまってます。新作・旧作、BL・ノーマルなんでも来い!好奇心だけは若い子に負けません。


(注意!)
ネタばれ、捏造設定、オリジナル登場人物など無数に出ております。
読まれる際はくれぐれもご注意を…。

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